韓国ドラマを観ていると、夜中に箱を開けて手づかみでかぶりつくチキンのシーンがよく出てきます。あの光景に憧れて韓国旅行で初めて注文してみたら、「思っていた唐揚げと全然違う」と驚いた方も多いのではないでしょうか。

韓国のフライドチキンは、揚げ方も、味の種類も、食べるシーンも、日本の唐揚げとはかなり違う文化を持っています。この記事では、韓国が大好きな「お隣のキムさん」が、定番のフレーバー8種類から「チメク」文化、主要チェーンの看板メニューまでをまとめて紹介します。

韓国で「チキン食べよう」と言われたら、それは唐揚げのことではありません。味の名前を3つ覚えるだけで、注文のハードルは一気に下がりますよ。
韓国のフライドチキンは日本の唐揚げと何が違う?
同じ「鶏を揚げた料理」でも、韓国のチキンには明確な特徴があります。大きく4つです。
1. 二度揚げでとにかくサクサク
低めの温度でじっくり火を通してから、高温でもう一度揚げる。この二度揚げが、韓国チキン特有の軽い食感を生んでいます。余分な脂が抜けるので、冷めても衣がべたつきにくいのが特徴です。デリバリーで届いてもサクサク感が残るのは、この製法のおかげです。
2. 衣が薄い
日本の唐揚げは片栗粉や小麦粉をしっかりまとわせますが、韓国チキンの衣は薄くパリッとしたタイプが主流です。鶏肉そのものの味を活かしつつ、後からかけるソースがよく絡むように作られています。
3. ソースを「後から絡める」
ここが最大の違いです。日本の唐揚げは下味が主役ですが、韓国チキンは揚げた後にソースを絡めたり、パウダーをまぶしたりして味を決めます。だから同じ店でも、ソース次第でまったく別の料理になります。次の章で紹介するフレーバーの豊富さは、この作り方から生まれています。
4. 骨付き・丸鶏が基本
韓国では鶏1羽をぶつ切りにした「ハンマリ」が基本の単位です。手羽、もも、むねがミックスで入ってきます。骨なしがよければ「スンサル」と指定します。
注文で使える韓国語
ハンマリ(한마리)… 骨付き1羽まるごと
スンサル(순살)… 骨なし。少し割高なことが多い
バンバン(반반)… 2つの味を半分ずつ
メウン/レッド(매운/레드)… 辛口シリーズの目印
まず覚えたい定番フレーバー8種類
韓国のチキン店はメニューが多く、初めてだと迷います。まずはこの8つを知っておけば、だいたいのお店で困りません。好みから選びたい方は、次の早見表から探してみてください。
| 辛いのが苦手 | フライド/カンジャン/ハニー/スノーチーズ |
| 甘辛が好き | ヤンニョム |
| お酒に合わせたい | フライド/パダク |
| 子どもと食べる | カンジャン/スノーチーズ |
| 辛さに自信あり | 激辛系(메운/레드) |
| とにかく迷う | バンバン |
オリジナルチキン(오리지널 치킨)

味の傾向
ソースをかけない、塩味だけのシンプルなチキン。衣の薄さと揚げ方がそのまま味に出ます。
ポイント
お店の実力がいちばんわかるメニューです。初めて行く店では、まずこれを頼むとその店の個性がつかめます。
ヤンニョムチキン(양념 치킨)

味の傾向
「ヤンニョム」は韓国語で味付け・合わせ調味料のこと。コチュジャンベースの甘辛いソースを絡めます。
ポイント
辛さはありますが砂糖や水飴の甘みが強いので、辛いものが苦手でも意外と食べられます。日本でいちばん知られている韓国チキンです。
カンジャンチキン(간장 치킨)

味の傾向
醤油とにんにくベースの甘じょっぱいタレ。辛さがほとんどありません。
ポイント
日本人の口にもっとも合うのはこれ、と言われることも多い味。お子さん連れや辛いものが苦手な方の安全牌です。
ハニー系チキン(허니 치킨)

味の傾向
はちみつの甘さを前面に出したタイプ。しっかり甘く、おやつ感覚に近い味わいです。
ポイント
1羽全部が甘いと途中で飽きやすいので、塩気のある味と半分ずつにする組み合わせが人気です。
プリンクルチキン(뿌링클 치킨)

味の傾向
揚げたチキンに、チーズの粉を雪のようにたっぷりまぶしたメニュー。甘じょっぱさが後を引きます。
ポイント
見た目のインパクトが強く、若い世代に人気。辛さゼロなので、辛いものが本当に苦手な方はこれが安心です。
パダクチキン(파닭 치킨)
味の傾向

味の傾向
「パ」はねぎのこと。細く切った生のねぎを山のようにのせたチキンです。
ポイント
チキンの脂っこさをねぎのシャキシャキ感がリセットしてくれます。ねぎと一緒にソースをつけて食べるのが定番です。
激辛系チキン(매운/레드 치킨)

味の傾向
ヤンニョムの甘辛とは別物。唐辛子のストレートな辛さが来ます。
ポイント
メニュー名に「メウン」や「レッド」が入っていたら辛口の合図です。苦手な方はこの2語を避ければ大丈夫です。
バンバン チキン(반반 치킨)

味の傾向
「半分ずつ」という意味で、2種類の味を1箱で楽しめる注文方法です。
ポイント
定番の組み合わせは「フライド+ヤンニョム」。素の味から甘辛に切り替える流れになるので、最後まで飽きません。

初めての1羽なら、迷わずバンバンで「フライド+ヤンニョム」を。素の味を知ってから甘辛にいくと、そのお店の実力がちゃんとわかります。
「チメク」は韓国の国民的な楽しみ方
韓国のチキンを語るうえで外せないのが「チメク」です。チキン(치킨)とメクチュ(맥주=ビール)を組み合わせた造語で、韓国では完全に定着した食文化になっています。
特に有名なのが、漢江(ハンガン)沿いの公園でのチメクです。気候のいい季節になると、レジャーシートを広げた人たちがデリバリーでチキンを注文し、ビールを片手に川辺で過ごします。配達員が公園まで届けてくれるので、手ぶらで行っても成立します。韓国ドラマや映画でよく見る、あの光景です。
そのほかにも、チキンが登場する場面はこんなにあります。
- スポーツ観戦しながら、みんなでつまむ
- 残業終わりや試験明けの打ち上げに
- 友人同士の家飲みの主役として
- 雨の日の夜に、なんとなく頼みたくなる一品として
韓国でチキンが「ごちそう」ではなく「日常の楽しみ」として根づいているのは、出前文化が非常に発達していることが大きな理由です。アプリで注文すれば短時間で届くので、特別な日でなくても気軽に頼めます。
新大久保で韓国チキンを食べるなら
日本で本場の韓国チキンを食べるなら、東京の新大久保がいちばんの激戦区です。駅を出て大久保通りを歩くだけで、チキンの看板がいくつも目に入ります。数が多すぎてどこに入るか迷うので、まずはお店のタイプから絞るのがおすすめです。
| 韓国チェーンの日本店 | 現地と同じブランド。味のブレが少なく、初めてでも安心 |
| チキン専門の居酒屋 | チメクをその場で楽しめる。深夜まで営業している店が多い |
| テイクアウト中心の店 | ホテルや自宅で食べたいとき向け。持ち帰り箱で提供される |
韓国の大手チェーンでは、ネネチキン(네네치킨)が新大久保に複数の店舗(2026年9月時点)を構えています。現地で食べるのと同じブランドの味を確かめたい方は、ここから始めるとわかりやすいはずです。
新大久保ならではのメニューとして押さえておきたいのが「UFOチキン」です。チキンの横に溶かしたチーズを敷き、絡めながら食べる一品で、多くのチキン店が看板メニューにしています。韓国本国よりも日本で定着した印象があり、チーズ好きなら一度は試す価値があります。
新大久保でのチキン店選び 3つのコツ
ハーフ&ハーフができるか確認する。2つの味を1皿で試せるので、初めての店ほど得をします。
揚げ時間を見込んで行く。注文を受けてから揚げる店が多く、提供まで20分前後かかることも珍しくありません。テイクアウトなら電話で先に頼んでおくと待ち時間が減ります。
週末の夜は待つ前提で。人気店は行列になります。時間をずらすか、平日を狙うのが確実です。

新大久保で迷ったら、まずは持ち帰りの箱を抱えている人を探してみてください。その人が出てきた店は、だいたい当たりです。
日本で韓国チキンを楽しむ3つの方法
1. 専門店に食べに行く
新大久保や鶴橋をはじめ、韓国チキンの専門店は日本各地に増えています。韓国の大手チェーンが日本に出店しているケースもあり、現地に近い味を楽しめます。お店で食べる場合は、バンバン(半分ずつ)ができるかどうかを注文時に聞いてみてください。
2. ソースを買って家で作る
いちばん手軽なのがこの方法です。ヤンニョムソースは韓国食品店やネット通販、大型スーパーの輸入食品コーナーで手に入ります。市販の唐揚げや冷凍チキンを用意して、温めたソースを絡めるだけで、かなり本格的な味になります。
ちなみにヤンニョムチキンとソースの作り方を公開しているので、ぜひとも参考にしてみてください!

ソースを絡めるのは、食べる直前が鉄則です。早く絡めると衣がふやけて、あのサクサク感が消えてしまいます。
3. 冷凍チキンを取り寄せる
韓国メーカーの冷凍ヤンニョムチキンも通販で買えます。オーブンやエアフライヤーで仕上げるタイプが多く、揚げ物の手間がかかりません。深夜に急にチキンが食べたくなったとき用に、冷凍庫に常備しておくと便利です。
よくある質問
辛いものが苦手でも食べられますか?
問題ありません。フライド、カンジャン(醤油)、ハニー、スノーチーズは辛さがほぼないタイプです。メニュー名に「メウン」「レッド」が入っていないものを選べば大丈夫です。
ヤンニョムとフライド、どちらを選べばいい?
迷ったらバンバン(半分ずつ)にしてください。1箱で両方の味を試せるので、次回から自分の好みで選べるようになります。
骨なしにできますか?
できます。「スンサル」と伝えれば骨なしになります。ただし、骨付きより少し高くなる店が多いです。
冷めてもおいしい?
二度揚げしているので、日本の唐揚げより衣のサクサク感が残りやすいです。それでも揚げたてが一番なので、デリバリーなら届いたらすぐに食べるのがおすすめです。
まとめ
韓国のフライドチキンは、二度揚げの軽い食感と、後から絡めるソースの豊富さが魅力です。ヤンニョム、カンジャン、スノーチーズなど、味の名前を知っているだけで、現地でも日本の専門店でも注文がぐっと楽になります。
そして韓国では、チキンはごちそうではなく日常の楽しみです。ビールと合わせる「チメク」は、友人と過ごす時間そのものを指す言葉でもあります。日本でも、金曜の夜にチキンとビールを用意するだけで、あの空気は十分に再現できます。

まずは近くの専門店で1羽、それが難しければヤンニョムソースを1本。どちらからでも、韓国チキンの世界には入れますよ。
本記事のチェーン店舗数・価格帯は、各社の公開情報および公正取引委員会の情報公開システムをもとにした報道(2024年末時点)を参考にしています。当サイトは記事内で紹介した各ブランドと提携・協力関係にはありません。
